復刻堂の古雑誌・古本紹介

明治から昭和20年代までの雑誌を集めています。

勉強の呼吸!豪華景品は何とブランコや滑り台!〇ッキー的な漫画も発見!小学6年生 第十五巻第六号 昭和10年7月8日

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大東亜戦争の6年前に発行された小学館発行の小学6年生になります。読んだ時に私が小学生シリーズを読んでいた1990年代の紙面構成とさほどは変わらないように思いながらも端々で出てくる軍人への敬意に軍部の地位の高さが所々に出ているように感じられました。

【目次】


7月発売ということで夏号。夏休みの過ごし方や自由研究、漫画や読み物、勉強方法と幅広く、「こんなのあったよね」と思うところがいくつもあります。漫画も大正時代と比べるとずいぶんきれいにまとまっていて、普通に読めます。

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昭和10年に流行ったこと

昭和10年(1935年)のできごと
あの日あの時 昭和10年

懸賞の賞品がブランコや滑り台、本箱、活動写真機と本当に豪華

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どうやって賞品を決めたのか。

子供心に夢がある賞品が多いのですが、うっかり当たったらどうするのだろう?現代ならおおきすぎて間違いなく親に怒られ返しなさいと言われそう。また、東郷元帥銅像が1等じゃなくて各方面から怒られそうな気もしますが、まだ大丈夫だったのですかね。この時代にブランコや滑り台が当たった人がどうしたのか、どうなったのか詳細を知っている人がいたら教えてほしい。

多彩な漫画のページ。〇ッキーらしきキャラクターも。

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上手なイラスト。
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小学6年生があればみんな幸せ
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夏休み清涼大会
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中国人風の兵士が「○○ある。」日本兵を殺するある。と書かれており物騒
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長編漫画。映画のようにストーリー性がしっかりとある。

のらくろの漫画が『少年倶楽部』で1931年から連載されていたので当たり前かもしれませんが、絵がだいぶきれいでコマ割りも読みやすい。

今は残念ながら休刊・廃刊中の小学生シリーズ広告

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学年ごとの表紙に大きな違いがみられない。

子供をとにかくひきつけようと付録・オマケだのみの文面。1面で各雑誌がこのスペースしかないと仕方なかったのでしょうね。宣伝方法についてもこれからの時代だったこともあるのか。ちなみに2020年時点で残っているのは小学1年生のみなので時代の移り変わりを感じさせます。

小学六年生は2009年(平成21年)12月28日発行の2・3月合併号が最終号となっており、1年生を除いたその他の雑誌は平成の時代に事実上の廃刊。

小学館の学年別学習雑誌 - Wikipedia

広告紹介 銀ぶらこと「ブラジル珈琲」、昔の「カルピス」

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小学6年生がコーヒー飲むのだろうか?あこがれを持たせて親と一緒に来店を促すためなのか。「銀ブラ」こと銀座でぶらぶらの発祥については諸説ありますが、その一端を担っているのがブラジル珈琲の喫茶店カフェーパウリスタ」。令和時代にはこの喫茶店は銀座だけなので昔から小さな喫茶店だったかな?と思っていましたが、当時は喫茶店が流行しており、ブームをけん引していた存在で銀座、浅草、丸ノ内、名古屋、神戸、横須賀ほか、全国に展開されていたようです。たしかに全国紙で広告するくらい大きかった。

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カルピスの広告は今のテレビCMのようのような文章

www.paulista.co.jp

ウソか?本当か?世界珍聞奇聞 科学小話の話

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自動車携帯飛行機はあると思います。

現代だとあり得るような発明の話や虫の説明です。飛行機に車を積むとかアメリカならありそうですし、東京の麻布に住んでいる人が寫音機(録音機)作っていても何らおかしくなさそうに思ってしまいます。しかし、懸命に調べてみましたが見つからなかったのでたぶん嘘。この小話を読んで想像を膨らませて楽しんでいたのでしょう。

たのしみページで一休み

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酸素のお話は単なる疑問だと思うし良い質問

今読んでも楽しめる話。小説 冒険小説、少年少女小説など

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長編少年少女小説「心の花束」。残念ながら書籍化はされていないようです。

当時の人気作家「横山美智子」先生の心の花束。絵も当時の雰囲気があって伊勢丹の面影もあり素敵です。

横山美智子 - Wikipedia

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各ページが上が写真で下が文章となっていて読みやすいし想像しやすい。少年たち3人が地図を手に入れて冒険するお話です。

今から85年前の小説なので古くて堅苦しい話かと思いきや子供向けの雑誌なので複雑にせずにわかりやすい内容です。ただ、「長編武家小説 花吹雪東海道」についてはあらすじがやたら長い。とにかく長い。長編小説だからお話が忘れてしまう子供をサポートする役割があったのかもしれませんね。

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○○の呼吸の先駆け。勉強の呼吸!

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まじめに勉学の指導されているページです。

大人気漫画の「鬼滅の刃」を思い起こす○○の呼吸ですが、85年前の小学6年生で発見!学生がいいそうですが現在の日比谷高校の先生によるコラムのタイトルが「勉強の呼吸」。鬼滅の刃は大正時代のお話なので、もしかすると大正時代に○○の呼吸が流行ったかもしれない。これから大正時代の雑誌を見たときに、もし見つけられたら感動しそうです。

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勉強のページは数多く設けられていて遊びだけの本ではないのがよくわかります。たしかに私が読んでいた小学6年生にもこういうページはありましたが、全然読まずに付録に飛びついて親に怒られた記憶はあります。

子供の夏休みの過ごし方

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写真を見てもさほど今と変わらない光景

私のようなの1970年代生まれと比べると夏休みの過ごし方があまり変わっていないように思えるのですが、今は違うでしょうね。どこの地域でも夏祭りが盛況で盆踊りや屋台で買ったり食べたりと小学生ながらに思い出がたくさんよみがえります。眠い中、朝早くに起きてラジオ体操へいくのは全国的に定番だと思っていましたが昭和初期からあったのですね。

まとめ

85年前に小学6年生だった子は今は96歳なので現在もご存命の方がいらっしゃることもあり、近い時代に感じられますね。文章や写真をみてもそれほど違和感や物珍しさがないのはそのためでしょう。この号で昭和初期における漫画の発展や広告文化の歴史が垣間見れたのは嬉しい発見でその後の戦中、戦後がどのような紙面になったのか気になるところではありますが、またの機会に。