大正時代にも英語の通信教育!クロスワードパズルと懸賞がスタート!「中学生」大正十四年7月
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研究社の中学生ですが、現代で言う高校生が読む雑誌ですが、詳細を調べても情報がでてこない雑誌で、いつまで発刊されていたのか研究社がどうなったのかすらわかりません。
【目次】
- 英語の通信教育がすでにあった
- 石油をめぐる資源争い
- 冒険へのあこがれ
- クロスワードパズル初登場!しかもシャープペンシルの景品付き
- どうして上流家庭の子供の顔は形が良いのか
- 気になったもの
- 広告のまとめ
時代背景ですが、この大正14年に中学校へ進学する率は男は19.8%、女14.1%だったので、この雑誌を読むのはそうとう期待されていたエリートだったのは間違いがないでしょう。
そんなエリートの若者が読んでいた雑誌の中身は、世界に目を向けた小論や体験記や探偵小説、全国の中学校の運動に関する話題、相談のコーナー、投稿作品のコーナーなど学生が好きそうなちょっとばかげた内容も盛り込まれています。しかし、とにかく辞典や勉強用の本の紹介ページが多く、あきるほどでした。これは最後に広告のまとめで掲載しています。
英語の通信教育がすでにあった
特に目を引いたのが英語の通信教育の広告。すでに大正時代から英語教育が始まっていたことにも驚きましたが、日本より進んでいる海外からの文化・知識を取り入れるためにエリート中学生には英語が必要だったか?必須科目は学校によったようですが。
この通信講座ですが、英語を独学で学びたい人や学校授業についていけない人向けで、5台別冊付録がついてくるようで、なんとも今も見かける文面ですよね。肝心の内容は今でいう参考書の販売だけだったのか?それとも赤ペン先生だったのか気になるところですが残念ながら詳細は分かりません。
石油をめぐる資源争い
大東亜戦争の目的の1つは石油をめぐる資源だったというのは学んだ気がしますが、大正時代においても石油の大事さや各国の動向を記者が分かりやすく書いています。
「石油という天然の燃料がどのくらい現在我々の文明の上に貴重な価値を持っているか、おそらく諸君の想像も及ばないほどであろう。<中略>もし今地球からこの石油が急にはたとでなくなったと仮定したら、それこそ全世界の工業は一時に途絶えてしまう。」
石炭から石油の時代になり、有望な学生に向けて大事なことを数ページ割いて伝えているのは素晴らしい。最後の方では大東亜戦争のことを予感させる内容になっている。
冒険へのあこがれ
アメリカ人夫妻のアフリカ大陸の横断記録、ヒマラヤ探検飛行日記があり、冒険へのあこがれか、世界の未知の場所への興味をもつ若者が多かったのでしょうか。
「放送局」というみなに知らせたい内容を紹介するページに「登山の注意」があり、冒険への興味の高さを感じられます。
クロスワードパズル初登場!しかもシャープペンシルの景品付き
編集者が欧米の新聞雑誌で見たことがあり、他紙でも評判だったみたいで導入してみたようです。日本では1925年3月。この雑誌の4ヵ月前にサンデー毎日誌でクロスワードパズルの連載をしたのがはじめてだったようで「うちも他紙に遅れるな」と取り組んだ様子が目に浮かびます。
実際に問題を解いてみると難しい。これをインターネットもない時代にやっていたと思うと途方に暮れそう。問題の九州北部にある島、ロシアの1民族、日本唯一の高級少年雑誌とは何なんだろう。
どうして上流家庭の子供の顔は形が良いのか
これは読者からの質問に様々な先生が回答するコーナーがあり抜粋しました。すごい質問です。内容は「どうして上流家庭の子供の顔は形がよく下流家庭の子供は反しているのは、どういう理由でしょうか?」
京都の人からの質問なのですが、今ならネットで「京ことば」だと騒がそうな質問。
これに答える先生の回答も「やはり遺傳ですね。」とバッサリしていて面白い。
気になったもの
紙面から興味をひいたものを簡単に紹介
この小説は探偵なのか野球なのか。野球をする探偵なのか。仮面かぶって投げる投手なのか。
地方の方言を紹介するコーナー。秋田県と山口県。文字だと何となくわかりますが実際の電話だと訳が分からなそうです。
忘れた頃にやってくるアルティメット鹿児島弁アニキ pic.twitter.com/Lg77Z377x6
— 平成を忘れないbot (@HEISEI_love_bot) 2020年3月18日
今でいう少し前に話題に合ったアルティメット鹿児島弁アニキみたいなものでしょうか。